開催日 | 2010年3月14日(日) |
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開催時間 | 14:30 - 16:50(交流会15:50~) |
場所 | 秋葉原UDX4F UDXマルチスペース(東京フードシアター5+1) |
参加費 | 無料 (交流会2000円) 映像内の長寿メニューとソフトドリンク付き |
募集人数 | 30人 |
募集対象者 | 健康料理にご興味のある方ならどなたでも 調理のできない方も大歓迎 医師、管理栄養士、調理士等プロも歓迎 |
主催 | UDXオープンカレッジ |
共催 | ドクターズキッチン |
ドクターズキッチン
開催の報告
ファシリテータの重森貝崙氏(社団法人中日文化研究所理事) |
ブラジルの現地報告DVDを視聴する参加者 |
日本在住の日本人とブラジル在住ブラジル人の健診データ比較 |
相田照一(新産業文化創出研究所) によるブラジル料理「フェジョアーダ」の調理実演
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懇親会参加者のテーブルの前で、牛肉を切り落とすブラジル料理を実演するところ |
交流会の様子 |
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開催の内容
世界の国々には長寿国といわれる地域や民族がいます。また、これまで長寿地域や民族であったのに急激に悪化していたり、短命地域であったのに改善の兆しが見えてきたりすることがあります。こうした地域やその現象にはこの分野の権威である家森幸男先生とWHO(世界保健機構)のフィールルドワークとしての研究調査により科学的な根拠やメカニズムが解明されてきました。そこで解った大きな要素が各地の特徴的な「食事」にありました。
このワークショップで上映するのは、世界各地での検診・調査の実際や、食環境・食生活などを記録したもので、全て家森博士の監修作品です。家森幸男博士は京都大学名誉教授、武庫川女子大学教授、WHO循環器疾患専門委員、わが国でなじみ深い「カスピ海ヨーグルト」の生みの親でもあります。
WHOの世界各地のフィールドワークを映像記録したのが、同行した映像監督の重森貝崙 氏。重森さんがカメラを通して見てきた世界の食事と健康・長寿の関係を、家森先生の解説と合わせて映像を見ながらワークショップと映像に登場する食事の調理実演と解説、試食会、交流会をシリーズで行います。
第6回 3月14日(日)14:30~16:30
映像【食と健康の未来をみつめて―WHO国際共同研究・ブラジルの報告(41分)】
ブラジルで最もポピュラーな食べものは、牛肉です。生産頭数が多く、値段 も安いためです。指折りの大豆生産国ですが、この大豆を豆腐や納豆など大豆 加工食品にして食べるという文化はありませんでした。海岸線に恵まれ、内陸 部には大きな流域面積を持つ湖沼や河川が存在しながら、魚介類の消費量は、低い水準にとどまっています。
ブラジル奥地にカンポグランデという街があります。鉄道敷設の要員として、沖縄県からも大勢の人たちがこの地へ移民しました。最初、牛肉や砂糖が安くて豊富なため、大喜びで食べていましたが、その結果健康を損ない、沖縄県民よりも17年も平均寿命が短くなってしまいました。塩分を1日14グラムと、平均より多く摂取した結果、沖縄県移民全体の血圧は上昇し、さらには肥満、糖尿病の人も増加しました。
ブラジル在住の日本人医師、森口幸雄博士。現代の赤ひげとでもいうべき存在 ですが、この事実を憂い、牛肉や塩分の摂取量を減らし、野菜や大豆食品、魚などを食べるよう指導し、現在では健康改善の兆しが見えています。このことからも、「長寿は遺伝ではなく、環境である」ということが証明されました。
ブラジルの名物料理に「フェジョアーダ」というのがあります。赤豆(金時豆)と豚のシッポや内臓などを土鍋で煮込んだ料理です。この料理は、もともと労働力としてアフリカから連れてこられた、貧しい黒人たちが知恵を絞って作りだした、いわば<奴隷料理>と言ってもいい食べものですが、赤豆独特の甘味とトロミによってすばらしい美味に化け、いまでは専門レストランも設けられ、金持ちも食べに来る人気料理に出世しました。
ただし、家森博士は「赤豆は美味しいけれどもイソフラボンが少ない。是非、この料理に大豆を加えてほしい。そうすれば、栄養の点で完璧です」とアドバイスを寄せています。キッチンでは、「大豆入りフェジョアーダ」を試作します。
その他 『映像からみた世界の食事と健康・長寿』ラインナップ とプログラム
◎予防栄養医学・長寿学の泰斗として世界的に有名な家森幸男博士によって、1986年から開始された「WHO・世界の食事と健康」研究。この研究は、世界25ヶ国・61地域に及ぶ大規模なフィールドワークで、食事と健康・長寿の関係に関して、次々と新しい医学・栄養学的研究成果が生まれ、現在も進行中です。
第1回 2010年2月7日 中国広東省梅県 客家の食事と健康
調理実演 家常豆腐 等
第2回 2010年2月12日 中国広東 広州の魚料理
調理実演 はたの蒸し料理
第3回 2010年2月19日 沖縄伝統料理
調理実演 豚と昆布と瓜の煮込み
第4回 2010年2月26日 グルジア・コーカサスの料理
調理実演 牛肉のボイル
第5回 2010年3月9日 スコットランドの短命料理を反面教師に
調理実演 フィッシュ&チップスによる改善メニュー
第6回 2010年3月14日 ブラジルの短命料理を反面教師に
調理実演 フェジョアーダ豆と肉の煮込み)による改善メニュー
【プロフィール】
●重森 貝崙 (しげもりばいろん) 氏
記録映像監督。(社)中日文化研究所理事。
大学卒業後、岩波映画製作所入社、監督、代表取締役を務める。主に世界・中国の食文化について映像演出および研究をしている。「中国の食文化」では電通・映画部門賞など多数受賞。
受賞歴:
「中華人民共和国の農業」で教育映画祭最優秀作品賞(文部大臣賞)受賞
「中国の食文化」で電通・映画部門賞、日本ペンクラブ・外国部門賞受賞
「病む人なき未来へ」で芸術文化振興基金の助成を受ける
●家森 幸男(やもりゆきお) 氏
武庫川女子大学国際健康開発研究所 所長/医学博士
世界の健康長寿食の研究
1937年、京都府生まれ。1967年、京都大学大学院医学研究科博士課程修了。病理学専攻。米国国立医学研究所客員研究員、京都大学医学部助教授、島根医科大学教授、京都大学大学院人間・環境学研究科教授などを歴任。
1983年からWHOの協力を得て世界25カ国61地域を学術調査。
現在、武庫川女子大学国際健康開発研究所所長、京都大学名誉教授、WHO循環器疾患専門委員、財団法人兵庫県健康財団会長、財団法人生産開発科学研究所予防栄養医学研究室長などを兼任している。
主な研究分野:
世界で初めて人間と同じような脳卒中をおこす遺伝子を持ったラットを開発し、たとえ脳卒中の遺伝子があっても、脳卒中が大豆蛋白質、大豆イソフラボンなどで予防出来ることを証明。そこでWHOの協力を得て、20余年をかけて世界25ヵ国61地域で食事と健康・寿命の関係について研究を続け、ついに長寿の栄養源が大豆の成分、蛋白質やイソフラボンなどであることを明らかにした。
長寿食に関する著書も多数。
受賞歴:科学技術庁長官賞、日本脳卒中学会賞、米国心臓学会高血圧賞、日本循環器学会賞、ベルツ賞、杉田玄白賞、紫綬褒章受賞
主な著著:
『大豆は世界を救う』 法研
『110歳まで生きられる!脳と心で楽しむ食生活』 NHK出版
『長寿食世界探検記』 ちくま文庫
『食で作る長寿力』 日経プレミアシリーズ
『長寿の秘訣は食にあり』 マキノ出版
『カスピ海ヨーグルトの真実』 法研
『ついに突きとめた究極の長寿食』 洋泉社
『食べてなおす高血圧』 講談社
『病気にならない食べもの便利帳』 大和書房
ほか多数
3月14日ワークショップ 「WHO国際共同研究・ブラジルの報告」レジュメ
○ブラジルは南米大陸の約半分を占め、ロシア、カナダ、中国、アメリカに次いで、5番目に大きな国土を有する国である。東西の最長距離と南北の最長距離はほぼ3400kmと一致している。北部には赤道が通っており、国土は北部の熱帯性から、南部の温帯性まで幅広い特性を備えている。その広さは日本の22倍、そして人口は1億8800万と、広さの割にはそれほど多くない。
○ブラジルはまだ、いわゆる一流先進国の仲間入りはしていないが、頼もしい潜在パワーをもつ国である。歴史的に金、宝石類、鉄鉱石などが豊富であったが、将来、大きく飛躍を遂げる可能性を秘めている理由は、鉱物資源ではなく、水資源とそれに付随する農業資源である。現在でもブラジルは世界有数の農産物生産国である。近年の統計数値を見てみよう。コーヒー豆は約240万㌧、これは世界の31%にのぼり、第1位。オレンジ29%・1位、サトウキビ28%・1位、大豆23%・2位、牛肉12%・2位と重要な産物で大きな割合を占めている。
○地球人類の将来は食糧、すなわち農業のあり方にかかっている。ブラジルの国土は、比較的容易に耕地へと転換できる土地が、大きな面積で残っているという。そして現在粗放な形態の農業をさらに合理化し、科学的な改良を加えれば、その生産量は大きく伸びることが予測される。ブラジルの農業、その歴史は、ご存知のように、日本人を抜きにしては語れない。1908年、笠戸丸が初めて日本人を乗せてブラジル・サントス港に錨を降ろしてから約100年。ブラジルに着いたわが同胞は、そのほとんどが一貫して農業に従事してきた。
○ブラジル移民は、何回にもわたって行われてきた。第二次大戦前のみならず、戦後もわが国の食糧不足、人余りを反映して、政府の音頭とりで数次日本人がブラジルへ渡っている。ブラジルは貧富の差が大きく、必ずしも豊かな国情ではなかったが食糧は豊富であった。とりわけ、その当時の日本で絶対的に不足していた牛肉と砂糖は、極めて豊富であった。生産量がいまでも世界のトップクラスにあるのだから、当然といえば当然である。ブラジルにやって来た日本人は、大喜びでこれらを常食することになる。牛肉は昔も今もコメよりも安い。1㌔1ドル、コメは2ドルである。タダのような値段の砂糖を毎日摂り、牛肉を懸命に食べた結果、悲劇が生れた。当時、成人病と呼んでいた病気、現在の生活習慣病に次々と罹患し、心筋梗塞や糖尿病などで倒れていったのである。そのことにいち早く気づき、生活習慣病の予防と治療を、ボランティアで積極的に取り組んでいった日本人医師がいる。森口幸雄博士である。
○森口博士は、1948年慶應義塾大学医学部を卒業、その後イタリア・ミラノ大学医学部に留学、そして1971年以来、ブラジルの南リオグランデカトリック大学の教授、老年医学研究所所長としてブラジル人のために、教育、医療活動を続けてきた。その中で博士は大学教授としての勤務の傍ら、ブラジル西部・南部で、邦人入植者の無料巡回診療を、約30年にわたって継続し、日系移民を中心とした人々の健康増進に寄与してきた。本日の映画は、森口博士の巡回診療の足跡を家森博士の学術チームとともに訪ね、検診を行いながらその食生活を調査したときの記録である。
○森口博士が老年医学研究所長を務めている大学は、南リオグランデ州にある。ここはブラジルでも最南端の州で、ポルトガル、スペイン、イタリア、ドイツなどヨーロッパ系の国々の移民が多い。この州ではまず最初、アルゼンチンに近い南の街、バジェが検診現場となった。この街の主な産業は牧畜。世界一牛肉が安いという街である。食生活の中心は当然ながら肉。ガウショと呼ばれるカウボーイたちの昼食を撮影したが、豪快な牛リブの炙り焼き。味付けは岩塩をお湯で溶かし、ざぶざぶ肉の上からかける。かなり塩分強めである。この塩と牛の脂肪、すなわち動物性脂肪という取り合わせは最悪で、コレステロールを腸管から吸収しやすくする作用があり、動脈硬化、肥満の原因になる。
○一方、街の家庭でのメニュー。ブラジル流炊き込みご飯を見せてもらった。塩蔵品の牛の干し肉を塩抜きし、小さく刻む。タマネギを炒め、干し肉、コメとともに炊き上げる。食べるときはサラダ菜など、緑黄色野菜を付け合せる。栄養バランスの取れた健康食といえる。この時の取材は1990年であったが、この地域では、以前はあまり野菜を食べなかったという。それは、野菜の種類が少ないため、食べる習慣が育たなかったのである。ここに野菜をもたらしたのは、日本人の移民である。日系移民が野菜を作るようになるまでは、長い歴史があった。
○森口博士が巡回診療を行ってきたのは戦後の移民で、1952年・昭和27年に溯る。1970年代、巡回診療開始とともに博士が気づいたのは、早死にする人が多かったことである。死因のほとんどは心筋梗塞、そして糖尿病。肉を多食し、魚や野菜を食べないことによる栄養の偏りが原因である。森口博士は、大学の講義で心筋梗塞や糖尿病のことを習ってはいたが、実際に遭遇したことはなかったそうである。博士の巡回診療は、南リオグランデ、南マットグロッソの二つの州をカバーし、一回りすると4000㌔。北海道から鹿児島まで往復する距離である。1990年までに14000㌔、地球を一周半したことになる。
○この70年代、検診で判明した事実を数字で表すと、以下のようになる。 平均寿命は、その当時の日本人の平均寿命(1971年:男・70.17、女・75.58)よりも17年短く、若い人は30代、40代で亡くなってしまう。それは、日本在住の日本人よりも肉を18倍、砂糖を3倍、塩を20%多く摂取し、野菜と魚が30%少ないという食生活がもたらしたものである。肉や砂糖は日本ではなかなか食べられない貴重な食品であったが、ブラジルではこれが最も安かった。
○ 1980年代に入って博士は心電図を取り始めた。なんとその陽性者、つまり潜在性虚血性心疾患、いいかえれば心筋梗塞候補者は36.5%、日本人の2.4%に対して15倍であった。一見この人たちは健康にみえる。しかし、このまま放置すれば、突然のハートアタックによって命を奪われることは明白である。そこで、この陽性者に対し、食事の改善を勧めた。肉の食べる量を減らすこと、肉の脂は美味しいけれど避けること、塩も減らして、野菜と魚をもっと食べること、これを口をすっぱくして指導した。1981年、36%だった陽性者はその7年後22%にまで下がった。この間年齢が高くなるので、本来ならパーセンテージは上昇するはずなのに、この食事指導だけで心筋梗塞のリスクを劇的に減らしてしまったのである。
○食事指導は、その人のライフスタイルに関わることなので、森口博士の言うことを素直に聞かない人も出てくる。そこで、改善勧告に従った人と、従わなかった人を比較してみたところ、肥満や高血圧、そして心電図変化のパーセンテージに大きな差が生じていることが判った。例えば、男性の高血圧の割合では、指示に従った人は7.5%に対し、従わなかった人は32.8%。約4倍強である。心電図の方は、正しい食事をしなかった人は9.0%あったのに、いいつけをよく守った人は0.9%と10分の1であった。これは博士が巡回診療を開始して以来、30年間の成果でもある。これで判ったことは、健康・長寿は遺伝ではない。食事という環境因子が、強く影響を及ぼしているという事実であった。
○映画にも出てきたが、森口博士の食事改善勧告を受け入れた人たちの中から、現地で野菜を生産し、販売する人たちが現れる。そのお陰で、日系移民以外のブラジル人にも野菜を食べる人たちが増えたという。理想をいえば、世界の5分の1強を生産している大豆や、豊富にある魚介類を日常の食生活に取り入れれば、さらに健康度はアップするであろう。
○アマゾン川中流の街・マナウスで、一般家庭の魚料理が紹介されていた。魚はトクナレとピラルク、開高健の「オーパ!」にも紹介されていた美味しい魚である。ブラジルでも場所によっては、このような魚の食文化が根付いている。有名な肉食の猛魚・ピラーニャは多種類棲息し、数も多いが、かなり美味しい魚である。素人でも釣れる魚で、この10年後、ブラジル奥地のカンポグランデという大湿地帯に隣接する街の取材で体験した。湿地帯のロッジの川に張り出しているテラスからの投げ釣りでよく釣れた。ロッジで調理してもらい食べてみたが、とくに炒め煮やスープにしたのが美味しかった。
○次は大豆。世界第二位の生産を誇っているのに、自国の人間の胃袋に納まる量は少ないようだ。牛肉の消費に影響するのが困る、という事情もあるのかもしれない。しかし、大豆ではないが、黒豆を食べる食文化は厳然と存在する。 この黒豆と豚の耳や尻尾、内臓などを煮込んだ料理が、「フェジョアーダ」である。黒豆はたしかに美味しい。しかし、大豆ほどの優れた栄養素は含んでいない。大豆にはたんぱく質のほか、女性ホルモン様の作用をもつイソフラボンや、カリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維といった貴重な栄養素がいっぱい含まれている。今、脚光を浴びているイソフラボンは、血圧を下げ、骨からカルシウムが抜けて行くのを防ぐほか、悪玉コレステロールを上手に処理する作用をもっている。
○肝臓の細胞にはレセプター、すなわち受け口という器官があり、これが悪玉コレステロールを捕まえてくれる。イソフラボンはこのレセプターの数を増やす働きがあり、イソフラボンを摂取すれば、肝臓はどんどん悪玉コレステロールをキャッチし、最終的に胆汁に変えてしまう。このとき、タウリンというアミノ酸があれば、よりスムーズに胆汁に変えることができる。タウリンは、魚介類や動物の内臓に多く含まれており、黒豆にも大豆ほどではないがイソフラボンが含まれているので、ブタのモツなどと一緒に煮込むフェジョアーダは、栄養面から理に適った料理といえる。しかし、最も理想的なのは、日本や中国で行われているように、大豆加工食品と魚介類を一緒に調理する料理であることは言うまでもない。
○先ほど少し触れたカンポグランデという街。ここも森口博士の巡回地域であるが、この街にも、まだ心筋梗塞や糖尿病の候補者が存在する。家森幸男博士は1996年、森口博士とともに、大豆イソフラボン、魚の脂肪酸・DHA、そしてワカメなど3種類のエッセンス等を携えて、検診に赴いた。これらを10週間摂取してもらい、どのような結果が得られるかという、栄養・健康改善研究が初めてスタートした。これが記念すべき「モナリザ研究」の第一歩で、ラテン語の「Moneo Alimentationis Sanae」―健全な食生活を心にとどめてください、という言葉のアタマを縮めた名称である。さて、どんな結果が得られただろうか。これはカンポグランデだけの映像があるので、また別の機会にゆずりたい。
「ドクターズキッチン」とは
健康をテーマとした食の番組に紹介された食材がスーパーなどの店頭から一斉になくなることは良く知られています。我々の身近な関心事であり、古くより食と医療、健康に関しては語られてきました。しかし、言い伝えられる食と健康の常識には、大きな間違いや誤解も存在します。特定健康保険食品(トクホ)などの登場に見られるように、これまで科学的根拠(エビデンス)や治験の必要が無かった食にも様々な分野の研究者により研究が進んできました。
食に関しての科学や技術が進歩したことにより、これまで以上に「食と健康」の関係が解明されるようになってきました。治療や予防医療、日々の健康管理の他、美容や介護などに対しても食を活用したソリューションが開発、提案されています。個人の病院での治療・投薬履歴や健康診断などの記録、その他、食事・運動などのバイタルデータなどの健康データ(パーソナルヘルスレコード)に基づく、食事療法や食事指導もその領域となります。
国民の健康や病気予防、高齢化に対しての対策、食糧自給の問題としても「食」に対する期待が高まってきています。医療費の抑制などの考え方などからは病院給食などに対して健康保険により給付される給食の考え方やレセプトの方針が日々、変わりつつあります。
近い将来、病院給食は治療の一環で提供される療養食や嚥下食などを除く、一般食などは健康保険の領域から外れ有償化の方向に進みます。逆に通院患者向けの食事療法などには薬の処方箋同様、食の処方箋がシステム化するようになるでしょう。病院や診療所経営の観点から見ても療養食以外にも健康食としての指導や提供が見直され、ドクターズキッチンレストランなど医師の監修やプロデュースによる食品やレシピ開発、惣菜中食、給食、外食などのサービスが盛んになってきます。
こうした社会インフラを支えるためには医療機関だけでなく、健康サービス産業(フィットネスジムやエステックサロン、マッサージや健康料理教室など)の他、農業などの食の生産や食品加工メーカー、外食や給食、食品スーパーや惣菜販売などの中食などのフードサービス産業、調理などのための厨房産業や調理家電、またパーソナルヘルスレコードのための情報システム産業、健康機器メーカーなど多岐にわたる業界のコラボレーションが重要となってきます。
本ワークショップはこうした新市場に対して新たな製品やサービスを提供するための情報を学び、ビジネス研究や交流により新産業創出を促進します。
プログラムは製品やサービス、ビジネスの企画研究開発の情報、産学官、異業種、川上川下の連携促進を目的とした「イノベーションワークショップ(セミナー)」の「ドクターズキッチン・ビジネスワークショップ」とフードサービス産業や調理士、栄養士、保健士、介護士、医師や医療機関経営者、健康サービス産業者などを対象とした「食と健康医療」を学ぶ「プロフェショナルワークショップ」、一般の方々が食育としてドクターズキッチンレシピなどを学ぶ「オープンワークショップ(セミナー)」の「健康教室」「料理教室」などがあります。
ここでは「ドクターズキッチン・ビジネスワークショップ」として1月末より毎月1~2回程度の開催を下記のテーマなどにより予定しています。各方面の先端的取組や実績のある講師・スピーカーをお招きして新産業文化創出研究所 所長 廣常啓一のファシリテートにより参加者通しの議論も交えプログラムを進めてまいります。
■食による健康・医療のための社会インフラの可能性
■食による医療費軽減と地域産業振興
■診療報酬から外れる入院食(医療制度改正と給食の動き)
■フードサービス産業が乗り出す治療食の供給システム
■パーソナルヘルスレコードとドクターズキッチン
■ドクターズキッチンとIT技術
■次々と研究が進む食の科学と効能
■健康のための調理技術と調理機器とは
■広がる高齢者食、介護食の市場
■メタボ検診の現在の状況
■食事の処方箋システム
■健康経営と食のソリューション
■病院経営改善としてのサービス拡大とドクターズレストラン
■ドクターズレストランとしての病院の取組み
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