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【ドクターズキッチン】第4回・映像から見た世界の食事と健康・長寿ワークショップ 「ビルカバンバ、コーカサスにみる長寿の秘密」

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開催日 2010年2月26日(金)
開催時間 11:00 - 13:15(12:15 - 交流会)
場所 秋葉原UDX4F UDXマルチスペース(東京フードシアター5+1)
参加費 無料 (交流会2000円) 映像内の長寿メニューとソフトドリンク付き
募集人数 30名
募集対象者 健康料理にご興味のある方ならどなたでも 調理のできない方も大歓迎 医師、管理栄養士、調理士等プロも歓迎 
主催 UDXオープンカレッジ
共催 ドクターズキッチン

ドクターズキッチン

 

開催の報告


ファシリテータの重森貝崙氏(社団法人中日文化研究所理事)

グルジアの家庭料理を映像にて紹介 

相田照一(新産業文化創出研究所)によるグルジア料理の調理実演

グルジア料理の特徴や栄養素について質問する参加者

グルジア産のワイン。どちらも白ワインでフランス産に引けを取らない美味しさ

試食会の様子

 

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開催の内容

世界の国々には長寿国といわれる地域や民族がいます。また、これまで長寿地域や民族であったのに急激に悪化していたり、短命地域であったのに改善の兆しが見えてきたりすることがあります。こうした地域やその現象にはこの分野の権威である家森幸男先生とWHO(世界保健機構)のフィールルドワークとしての研究調査により科学的な根拠やメカニズムが解明されてきました。そこで解った大きな要素が各地の特徴的な「食事」にありました。
このワークショップで上映するのは、世界各地での検診・調査の実際や、食環境・食生活などを記録したもので、全て家森博士の監修作品です。家森幸男博士は京都大学名誉教授、武庫川女子大学教授、WHO循環器疾患専門委員、わが国でなじみ深い「カスピ海ヨーグルト」の生みの親でもあります。
WHOの世界各地のフィールドワークを映像記録したのが、同行した映像監督の重森貝崙 氏。重森さんがカメラを通して見てきた世界の食事と健康・長寿の関係を、家森先生の解説と合わせて映像を見ながらワークショップと映像に登場する食事の調理実演と解説、試食会、交流会をシリーズで行います。

第4回  2月26日(金)11:00~13:15
映像【ビルカバンバ、コーカサスにみる長寿の秘密(31分)】

この回の映像は、1986年に初めて実施された「WHO・世界の食事と健康・長寿」研究、その記念すべき第1回目の記録です。南米エクアドル、アンデス山脈の谷あいにある長寿の郷、ビルカバンバと、これも長寿地域で名高いコーカサス・グルジア共和国の二つの地域が検診・調査の対象として選ばれました。

この回は主にグルジアの健康・長寿、そして食生活などを中心に話を進めました。首都・トビリシでは、若者と遜色ない声量と美しいハーモニーの混声合唱団を 取材、その平均年齢は80歳台でした。
農村では、何人もの85歳~90歳以上のお年寄りにインタビューしましたが、 彼らの長寿には食生活が大きく関与している、という印象を受けました。ある長寿老人は、牛肉とヨーグルトを好んで食べていると話していました。ここで は牛肉は、大きな塊りをボイルし、溶け出た脂肪分は汁ごと捨ててしまいます。

ちょっともったいないようですが牛肉の良質のタンパク質だけを摂取し、余分な脂肪分は摂らないという合理的な食生活の知恵に基づくものでしょう。事実、血清コレステロール値は動物性タンパク質摂取量が多いにもかかわらず、中庸 の値を示していました。ハシュラマというこの料理、塊りをスライスして、プルーンを煮詰めて作ったジャムのようなソース、トケマリをつけて食べます。キッチンでは「ハシュラマ」。それにカスピ海ヨーグルトのデザートを作りました。

 

ファシリテーター:記録映像監督、(社)中日文化研究所理事 重森 貝崙 氏
  

その他 『映像からみた世界の食事と健康・長寿』ラインナップ とプログラム
◎予防栄養医学・長寿学の泰斗として世界的に有名な家森幸男博士によって、1986年から開始された「WHO・世界の食事と健康」研究。この研究は、世界25ヶ国・61地域に及ぶ大規模なフィールドワークで、食事と健康・長寿の関係に関して、次々と新しい医学・栄養学的研究成果が生まれ、現在も進行中です。

第1回 2010年2月7日 中国広東省梅県 客家の食事と健康
     調理実演 家常豆腐 等
第2回 2010年2月12日 中国広東 広州の魚料理
     調理実演 はたの蒸し料理
第3回 2010年2月19日 沖縄伝統料理
     調理実演 豚と昆布と瓜の煮込み
第4回 2010年2月26日 グルジア・コーカサスの料理
     調理実演 牛肉のボイル
第5回 2010年3月9日 スコットランドの短命料理を反面教師に
     調理実演 フィッシュ&チップスによる改善メニュー
第6回 2010年3月14日 ブラジルの短命料理を反面教師に
     調理実演  フェジョアーダ豆と肉の煮込み)による改善メニュー


【プロフィール】

●重森 貝崙 (しげもりばいろん) 氏  
記録映像監督。(社)中日文化研究所理事。
大学卒業後、岩波映画製作所入社、監督、代表取締役を務める。主に世界・中国の食文化について映像演出および研究をしている。「中国の食文化」では電通・映画部門賞など多数受賞。

受賞歴:
「中華人民共和国の農業」で教育映画祭最優秀作品賞(文部大臣賞)受賞
「中国の食文化」で電通・映画部門賞、日本ペンクラブ・外国部門賞受賞
「病む人なき未来へ」で芸術文化振興基金の助成を受ける

●家森 幸男(やもりゆきお) 氏
武庫川女子大学国際健康開発研究所 所長/医学博士
世界の健康長寿食の研究

1937年、京都府生まれ。1967年、京都大学大学院医学研究科博士課程修了。病理学専攻。米国国立医学研究所客員研究員、京都大学医学部助教授、島根医科大学教授、京都大学大学院人間・環境学研究科教授などを歴任。
1983年からWHOの協力を得て世界25カ国61地域を学術調査。
現在、武庫川女子大学国際健康開発研究所所長、京都大学名誉教授、WHO循環器疾患専門委員、財団法人兵庫県健康財団会長、財団法人生産開発科学研究所予防栄養医学研究室長などを兼任している。

主な研究分野:
世界で初めて人間と同じような脳卒中をおこす遺伝子を持ったラットを開発し、たとえ脳卒中の遺伝子があっても、脳卒中が大豆蛋白質、大豆イソフラボンなどで予防出来ることを証明。そこでWHOの協力を得て、20余年をかけて世界25ヵ国61地域で食事と健康・寿命の関係について研究を続け、ついに長寿の栄養源が大豆の成分、蛋白質やイソフラボンなどであることを明らかにした。
長寿食に関する著書も多数。

受賞歴:科学技術庁長官賞、日本脳卒中学会賞、米国心臓学会高血圧賞、日本循環器学会賞、ベルツ賞、杉田玄白賞、紫綬褒章受賞

主な著著:
『大豆は世界を救う』 法研
『110歳まで生きられる!脳と心で楽しむ食生活』 NHK出版
『長寿食世界探検記』 ちくま文庫
『食で作る長寿力』 日経プレミアシリーズ
『長寿の秘訣は食にあり』 マキノ出版
『カスピ海ヨーグルトの真実』 法研
『ついに突きとめた究極の長寿食』 洋泉社
『食べてなおす高血圧』 講談社
『病気にならない食べもの便利帳』 大和書房
ほか多数

2月26日ワークショップ 「グルジアの食事と健康」レジュメ
○グルジア共和国は面積約7万平方㎞、人口440万人、その面積は九州をやや上回り、人口は四国の総人口をやや上回る。西は黒海に面し、東はアゼルバイジャン、南はアルメニア、トルコと接している。北は、総延長1100㌔にも及ぶコーカサス山脈が東西に走り、その最高峰は5500㍍を超す。コーカサス山脈はロシアやウクライナとグルジアを隔てる巨大なる壁といえる。

○グルジアはシルクロードの西の果てであるが、交通の要衝でもあった。中世はティムール、トルコの支配を受け、19世紀は帝政ロシアに従属する。
1921年ソビエト赤軍に侵攻され、翌22年ソビエト連邦に加盟。1991年に独立し、翌92年に国連に加盟している。グルジアはソビエト共産党書記長のスターリンを生んだ国であり、独立のときの初代大統領・シェワルナゼは、ソビエト・ゴルバチョフ時代の外務大臣であった。

○グルジアは長寿で有名なところである。1986年に「WHO・循環器疾患と栄養国際共同研究」がスタートし、その研究・調査地域として白羽の矢が立ったのが、長寿地域として名高いコーカサス・グルジアであった。グルジアを訪れたとき、百歳以上のお年寄りは907人で、人口10万人に対して17人ということであった。
現在、平均寿命は男・68.5歳、女76.8歳、日本とは、10歳以上の差がある。センチナリアンと呼ばれる百歳長寿老人が多い割には、この平均寿命の数値はいかがなものか。これには、かなり違和感を覚える。

○グルジアの長寿を支えてきたのは何か。まず第一に、豊かな食文化があげられる。グルジアは典型的な農業国。高品質で大量の小麦が収穫され、多種類の野菜、果物が豊富に生産されている。果物では、プルーンやブドウが有名で、世界の発祥の地とされ、これが西はヨーロッパ、東はアジアへと運ばれた、とされている。質のいいブドウのため、ここのワインやシャンペン、ブランデーはフランスのものにヒケを取らないほど人気がある。
また、酪農王国でもある。とくにここのバター、チーズ、そしてヨーグルトは大変美味しく、とくにヨーグルトはマッツオーニと呼ばれ、人々の暮らしに欠かせない食品として根付いている。家森幸男博士が研究用として、日本に持ち帰ったヨーグルトが、いつの間にかカスピ海ヨーグルトという名称で、日本国中に行きわたり、その独特の美味しさと栄養価で、人気を博している。
ただ、このヨーグルトは、マッツオーニとは異なる菌であるという説もある。

○グルジアの首都・トビリシ。東西文明の要として、古くから栄えてきた都市である。ここで取材班は、全員70歳以上というコーラスグループに出会った。最高齢者は85歳の男性。歌の上手さもさることながら、声量の豊かさ、若々しさには感服のほかなかった。グルジアの人たちは、歌が大好きで、声も良く、歌い方も巧みで、農村部などで、人が集まり、少しアルコールが入ったりするといつの間にか、重唱、輪唱などのコーラスが湧き起こる。
グルジアの人たちは敬虔なグルジア聖教の信徒で、コーラスの上手さは、教会での聖歌合唱とも関係があるのかもしれない。

○研究・調査に赴くため、首都・トビリシから北西の方角へ移動。途中、ゴリという都市で休憩する。閑静なたたずまいをみせる古い都市である。ここは、スターリンの故郷で、街のなかに銅像が残っていた。フルシチョフの時代に徹底的なスターリン批判が行われたが、さすが故郷・ゴリ。銅像がなくなることはなかった。さらに北上し中部コーカサス山脈の山すそにある、ジャワという街に着く。ここの近郊農村で検診が開始された。

○我々の宿泊地は夏場のキャンプ場であった。そこには、車輪をはずした小さなトレーラーハウスが据え付けられており、車内には狭いベッドが二つ。これが宿舎であった。シャワーも風呂もなし。近くに小川が流れており、ここで時々からだを拭った。弱ったのはトイレ。大勢の人間が利用するにも関わらず、狭い男女共用のトイレが二つあるだけ。しかし、この地ではそれが当たり前で、日本があまりにも文明的過ぎたのかもしれない。この問題は、アフリカ・タンザニアや中国・アルタイ山脈でも、苛烈な体験をさせられた。

○果樹園のなかに建つ病院で、検診が開始される。中部コーカサス山脈南麓は、オセチア地方と呼ばれ、この地で話される言語はオセチア語。日本のスタッフによる問診はまず英語で始まる。それがロシア語に訳され、これがグルジア語に変わり、そして最後にオセチア語となって検診参加者に理解されるのである。ここの検診では、血圧高めでも元気な人が多く見受けられた。年をとっても、農作業で身体を使うのが元気の秘密らしい。そして驚いたのは、男性でも顔や腕以外の肌の色の白さであった。英語でコーケージアンというのは、もちろんコーカサス人のことであるが、もう一つ「白人種」という意味がある。たしかにここは、「白人種」の源流かもしれない、という鮮烈な印象が刻み込まれた。
○このときは、記念すべき第1回目の調査であったが、中国以外の共産主義国における取材は始めての体験であった。ひとことで言えば、大変不自由な取材であった。
車で走っているとき、いい景色に遭遇しても、車を止めて撮影するということは許されない。検診が行われている病院の全景がほしかった。目の前に小高い丘がみえる。あそこからなら理想的な全景が納められるに違いないと思い、グルジア側医学班の責任者にその旨陳情に及んだ。責任者は、地区共産党委員会に掛け合ってみるという。結局、撮影許可がおりたのは1週間後であった。丘の頂上まで車で5分。このアングルから撮影できるまで、1週間と5分かかったことになる。

○しかし、カウンターパートのグルジア医学スタッフや、土地の農家の人たちは大変協力的であった。農家ではたびたび歓迎の酒宴が開かれた。これも大切な撮影対象なので、撮影スタッフは酒宴には参加しない。見ていると、野牛の角で作ったさかずきで訪問客を歓迎する。杯の酒はワイン。口をつけるとすぐさま注ぎ足してくれる。角の杯なので、飲み干すまではテーブルに置くこともできない。医学スタッフは、暖かいが相当荒っぽい歓迎に遭い、お酒と格闘しているように見受けられた。

○テーブルの上には美味しそうなご馳走が並んでいる。牛肉をゆでこぼしして、脂肪分を取り除いた「ハシュラマ」。おそらく美味しいに違いないゆで汁は捨ててしまう。こうして、自然に動物性脂肪の摂り過ぎを防いでいる。この肉は、トケマリソースをつけて食べる。
トケマリは、ク リアビ、チャンチュリと並ぶプルーンの一種。このトケマリをゆでて柔らかくし、香味野菜、ニンニク、唐辛子をつぶしたものを混ぜて裏ごししたのがトケマリソースである。このソースに塩と油は使わない。グルジアの人々は、このソースを焼肉につけたり、料理の調味料として多用する。
動物性脂肪の摂り過ぎを巧妙に防いでいる料理がほかにもある。ティティラ(タパカ)というヒナ鶏の料理である。蓋つきの素焼きのプレートを暖炉で熱し、油脂類を使わず、そのままヒナ鶏をいれて蒸し焼きにする。焼き上がりは大変香ばしい。グルジアは良質のバターを大量に生産するが、この料理には使わない。先祖から伝わった生活の知恵であろう。

○野菜料理はナス、ニンジン、ジャガイモなどの煮込み料理、アジャプ・サンダリが代表的である。これを「グルジアのラタトゥイユ」と評する人もいる。味付けは、塩味が濃い。ハチャプリというパンには塩分強めのチーズが入っており、これも当然塩味が濃い。血圧高めの人が多いのは、このような食塩強めの食習慣が影響しているようである。
しかし、この食塩を体外に出してしまう、合理的で健康的な食習慣がここにはあった。生野菜と果物である。野菜はさまざまな種類のものが、生のまま、皮付きで出されており、土地の人たちはこれを豪快にバリバリまる齧りしている。
果物はブドウや桃を皮付きで、これもまる齧りしている。体内の食塩は、こうして野菜や果物の食物繊維にくっ付いて、身体の外へ出て行くのである。

○グルジアの長寿は、農村部においてその典型が見受けられた。大家族主義で、つねに家族とのコミュニケーションが交わされる。長老は「タマダ」と呼ばれ、一族の尊敬を受けている。宴会では真っ先にスピーチし、司会も兼ねる。簡単な農作業も引き受けている。このように、果たすべき役割が明確にある。こうして、お年寄りは毎日、心もイキイキと元気に暮らしているのである。

○この検診では、大変残念なことが起こった。それは、苦心して採取した尿と血液の国外持ち出しを禁じられたことである。党地区委員会に理由を訊いても、わが国は、尿と血液などの検体を国外に持ち出すことを、法律で禁じている、と繰り返すだけであった。
しかし、考えてみれば、その年、1986年4月26日、グルジアの北に位置するウクライナで、チェルノブイリ原発の大事故が起こったばかりである。我々の調査は4ヵ月後の8月。原発事故のグルジアへの影響が、検体から解明されることを恐れたのではないかと思われる。
そして、帰りのモスクワ空港では、栄養分析のため提供してもらった、毎日の食事サンプルが重量オーバーということで差し止めをくった。エクセス料金は120万円。明らかに吹っかけている。これを負けさせるために、家森博士と研究スタッフは粘り強く交渉するが、ガンとして負けない。結局、ソビエト科学アカデミーの先生が見るに見かねて、半額の60万円をアカデミー側で負担することで決着した。結局、家森博士が乗ろうとした飛行機は出発してしまい、モスクワに一晩「抑留」されるという結果になった。
食物サンプルはおかげで事なきを得たが、尿と血液は返ってこなかった。イデオロギーとは無縁の国家主義、全体主義が、ソビエト人民の健康のために努力したその成果を、平然と踏みにじったのである。

「ドクターズキッチン」とは

 健康をテーマとした食の番組に紹介された食材がスーパーなどの店頭から一斉になくなることは良く知られています。我々の身近な関心事であり、古くより食と医療、健康に関しては語られてきました。しかし、言い伝えられる食と健康の常識には、大きな間違いや誤解も存在します。特定健康保険食品(トクホ)などの登場に見られるように、これまで科学的根拠(エビデンス)や治験の必要が無かった食にも様々な分野の研究者により研究が進んできました。

 食に関しての科学や技術が進歩したことにより、これまで以上に「食と健康」の関係が解明されるようになってきました。治療や予防医療、日々の健康管理の他、美容や介護などに対しても食を活用したソリューションが開発、提案されています。個人の病院での治療・投薬履歴や健康診断などの記録、その他、食事・運動などのバイタルデータなどの健康データ(パーソナルヘルスレコード)に基づく、食事療法や食事指導もその領域となります。

 国民の健康や病気予防、高齢化に対しての対策、食糧自給の問題としても「食」に対する期待が高まってきています。医療費の抑制などの考え方などからは病院給食などに対して健康保険により給付される給食の考え方やレセプトの方針が日々、変わりつつあります。

 近い将来、病院給食は治療の一環で提供される療養食や嚥下食などを除く、一般食などは健康保険の領域から外れ有償化の方向に進みます。逆に通院患者向けの食事療法などには薬の処方箋同様、食の処方箋がシステム化するようになるでしょう。病院や診療所経営の観点から見ても療養食以外にも健康食としての指導や提供が見直され、ドクターズキッチンレストランなど医師の監修やプロデュースによる食品やレシピ開発、惣菜中食、給食、外食などのサービスが盛んになってきます。

 こうした社会インフラを支えるためには医療機関だけでなく、健康サービス産業(フィットネスジムやエステックサロン、マッサージや健康料理教室など)の他、農業などの食の生産や食品加工メーカー、外食や給食、食品スーパーや惣菜販売などの中食などのフードサービス産業、調理などのための厨房産業や調理家電、またパーソナルヘルスレコードのための情報システム産業、健康機器メーカーなど多岐にわたる業界のコラボレーションが重要となってきます。

 本ワークショップはこうした新市場に対して新たな製品やサービスを提供するための情報を学び、ビジネス研究や交流により新産業創出を促進します。

プログラムは製品やサービス、ビジネスの企画研究開発の情報、産学官、異業種、川上川下の連携促進を目的とした「イノベーションワークショップ(セミナー)」の「ドクターズキッチン・ビジネスワークショップ」とフードサービス産業や調理士、栄養士、保健士、介護士、医師や医療機関経営者、健康サービス産業者などを対象とした「食と健康医療」を学ぶ「プロフェショナルワークショップ」、一般の方々が食育としてドクターズキッチンレシピなどを学ぶ「オープンワークショップ(セミナー)」の「健康教室」「料理教室」などがあります。

 ここでは「ドクターズキッチン・ビジネスワークショップ」として1月末より毎月1~2回程度の開催を下記のテーマなどにより予定しています。各方面の先端的取組や実績のある講師・スピーカーをお招きして新産業文化創出研究所 所長 廣常啓一のファシリテートにより参加者通しの議論も交えプログラムを進めてまいります。

■食による健康・医療のための社会インフラの可能性
■食による医療費軽減と地域産業振興
■診療報酬から外れる入院食(医療制度改正と給食の動き)
■フードサービス産業が乗り出す治療食の供給システム
■パーソナルヘルスレコードとドクターズキッチン
■ドクターズキッチンとIT技術
■次々と研究が進む食の科学と効能
■健康のための調理技術と調理機器とは
■広がる高齢者食、介護食の市場
■メタボ検診の現在の状況
■食事の処方箋システム
■健康経営と食のソリューション
■病院経営改善としてのサービス拡大とドクターズレストラン
■ドクターズレストランとしての病院の取組み

 

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