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グローバルヘルスクラスター構想とグローバルヘルスイニシャティブ

グローバルヘルスクラスター構想とグローバルヘルスイニシャティブ

 グローバルヘルスイニシャティブ準備委員会

【グローバルヘルス(Global Health)】

 グローバルヘルス(Global Health)とは、健康や医療を取り巻く環境が、1カ国や1業種、または国などの行政機関、健康医療関係者だけでは、解決できない課題に対して国際的なレベルで協力や連携により、課題解決を行い、その持続的なシステムを構築していくことを言います。

 これまでは、WHOなどの国際機関の活動においても、International Healthと呼ばれ、援助を行う側と援助を受ける側との間、つまり二国間としてのInternationalの中で、開発途上国の公衆衛生課題を解決する議論が中心となっていました。

 今日、SARSや新型インフルエンザ、エボラ出血熱、そしてHIV、結核、マラリアの三大感染症など、国境を越えた様々な疾患が世界的課題となり、従来のように一国だけ、二国間だけでは対処することが難しくなり、国際社会全体で対策を講じなければならなくなってきました。それは、国家にとっても、外交安全保障戦略と言っても過言ではありません。

 しかし、各国の保健医療は、歴史や社会経済状態、法制度に密接に関わる極めてローカルなものであり、課題がグローバル化していることに対して各国の保健医療もそれと無関係ではいられなくなっています。

 グローバルヘルスが重要となっている背景には、その他にも環境破壊、気候変動や温暖化による感染症の拡大、紛争による難民の移動を起因とする病気の拡大、災害や貧困から産れる健康阻害、食糧問題や水不足、伝統や習慣、情報不足による間違った健康知識、先進国に於いても、生活習慣病の拡大、喫煙問題、精神疾患、テクノストレス、ユニバーサルヘルスケアカバレッジ、非感染症や高齢化社会がもたらす様々な課題、細菌テロなど保健医療の世界だけでは解決が困難なものが多様にあり、世界共通の公衆衛生の重要な課題として捉えられるようになってきました。

 こうした課題解決のためには、保健医療の専門家だけの問題ではなく、PPPの様に官民連携、国際連携、異分野連携として、様々な研究機関や企業、NGOやNPOの有機的な連携が重要となってきます。

 また、ライフサイエンスとしての、製薬や医療機器の研究機関や企業だけでなく、エネルギーやICT、ロボット、バイオテクノロジー、地質学や海洋学、植物や動物の研究などから、都市計画やまちづくり、環境やエンタテイメント、メディアなどの幅広い異分野の連携も必要となっています。

 グローバルヘルスの領域では、その解決の方策としてヘルス分野の上流ではイノベーション支援、また、ファンデーションとのマッチング、下流では、ワクチンや医薬品医療機器などの国際的な物流や配布、正確な病気や健康情報の提供などが推進されています。

 大学等の研究機関の研究活動や企業のビジネス活動としても積極的に、こうしたグローバルヘルスの領域に入り込んでいく必要があります。保健医療の領域以外の企業に於いてもCSRとして各社の事業や製品、サービスがグローバルヘルスにどのように貢献するのかの整理と情報発信を行うことも必要となります。

 健康への投資が、企業の生産性を向上させ、健康経営を生むことと同様に、地域の様々な活動に健康投資を組み入れることで、医療費の削減だけでなく、地域発展を生むことになります。世界的に見れば、健康に投資することで貧困や戦争が防ぐことができ、経済成長を促すことに結び付くはずです。

  政治・外交・経済・貿易・ビジネス・教育にとってもグローバルヘルスが、新たな可能性を産み出すイノベーションの種にもなることから、ここに関わることは、国や地域、大学や企業にとっての次世代のサスティナブル戦略となるはずです。

 こうしたグローバルヘルスのための対策や、それを支える産業を振興するために、各国や地域では、様々なリサーチパークや高度医療集積拠点などのヘルスクラスターも誕生しています。

【グローバルヘルスクラスター(Global HealthCluster)】

 ライフイノベーションなどをテーマとした医療や健康、介護福祉などの様々な知の拠点(研究開発などのリサーチパークや実証実験地域)、物流流通拠点、そしてビジネス支援拠点が産れています。

 こうした、ヘルスケア領域のヘルスクラスター(HealthCluster)と位置づけられる都市や地域、機能は、そのネットワークやビジネス支援などとの関係に乏しいものがあります。 

 国家成長の重要な戦略として、位置づけられたヘルスクラスターが、このままでは機能をフルに発揮できないことになってしまいます。

 グローバルヘルスクラスター(CHC)構想とは、こうしたクラスターのネットワーク支援、機能補完支援、ビジネス支援、クラスター人材やビジネス連携人材の育成などを展開することを意味します。

 特にそのコア施設や機能としては、国際的なオープンイノベーションのビジネスプラットフォームを形成し異分野の連携や国際連携、資金や販路とのマッチング、人材育成、スタートアップ施設、MICE機能など様々な支援を実施していくものです。

 そうした活動を推進するハブ機能として異分野、国際連携を推進するための連絡協議会業務を行う組織を「グローバルヘルスイニシャティブ」としました。

「グローバルヘルスイニシャティブ」は、これから、こうした志に賛同頂く関係者の参画により、活動を充実していく計画です。

【クラスターコア機能 、施設】

 グローバルヘルスクラスターのコア機能を物理的に担う施設の整備も行っていきます。

その一つが、ライフサイエンスの知の拠点や製薬企業の集積がある、関西の梅田地区に計画をしています。この地では、各地域のクラスター支援を行うため、地域に固執したものではなく、各国や地域の活動支援を中心とし、各地域間のネットワークも推進していくものです。

1.予防健康増進など広義の健康医療介護福祉、美容を意味するヘルス領域を対象とする。
2.各地域クラスターとの連携 及び支援活動 としてのハブ的ビジネス拠点。研究開発 から実証実験、許認可機能、ビジネス支援などの機能の有機的連携。
3.これまでの日本的専門領域機関から異分野領域を含む海外機関中心、また連携による活動体
4. 国際戦略特区を活用したヘルスMICEやビジネスセンター(ビジネスプラットフォーム)、マッチングからマーケティング、スタートアップなどの業務支援機能施設と関連サービスを兼ね備えた拠点
5.国内外の情報収集から情報発信機能
6.各国政府や大使館、業界の対応空白地(対応担当者不在)としての関西との連携

 その準備活動の一つとして、国内外の拠点との関係づくりを行うため、関係機関と協業でセミナーや研究会、プロジェクトを実施していきます。これにより日本国内の企業や研究機関の海外進出などの国際展開、国際的資金誘導等を行います。それとともに、海外の企業や研究機関、政府機関とのアライアンスなどの連携、技術などへの投資、日本進出への支援といった双方向の支援を行っていくものです。

 

 特にグローバルスタンダードとしての日本企業や研究のポジショニング形成やグローバル人材育成が重要となるヘルス市場への対応策と考えています。

 また、国際戦略総合特区などの指定地域の中心地にクラスター・コア機能を整備し、国内のリサーチパークや医療健康介護のモデル地域とのネットワークも結びます。

 更に国際的にも同様のネットワークを結ぶことで国際連携としての産官学医民の連携、異分野連携、地域連携などのサロンや各種テーマ別、国別の研究会等を開催する「プラットフォーム機能」の確立のほか、国際的なスタートアップオフィス(研究機関、駐在員事務所、ベンチャー等)の開設と参画進出者などに対しての技術や事業の評価、マッチング、情報発信、薬事承認支援や実証実験支援などの国内外進出支援、人材育成・確保、CSR支援などのビジネスコーディネートを行います。

 複数国間での実証実験や臨床検査などを並行して行うためのクラスターや認証機関のネットワークなどもその一つです。

 こうしたことにより国際的なヘルス領域での「戦略プロデュース機能」とイノベーション環境を整えていくこととなります。

■グローバルヘルスクラスター準備委員会によるプレ事業について

 テーマ別の研究会を開催しながら事業実現のプロデュースを行います。テーマとして「国や地域別の研究会」「技術や事業、産業別の研究会」「企業や大学などの課題や要望別研究会」「支援機関や企業の支援内容別研究会」などとその組み合わせ、異分野の集積交流を図るランウンドテーブルなどの開催を行います。

 近日開催の準備研究会としては国地域別研究会、テーマ別研究会などを企画しています。

  • 国地域別研究会事例

 デンマーク、アイルランド、イギリス、EU、北欧、アメリカ、キューバ、タイ、オーストラリア、台湾、香港(中国)、アフリカ諸国、ほか

  • テーマ別研究会事例

 感染症、ウェアラブルヘルスデバイス、コネクテットヘルス、スマートウェルネスシティ、ヘルシーパーク、バイオテクノロジー、ロボット医療、病院経営、健康医療CSR、クラウドファンディング、創薬、グローバル人材育成、オリンピックパラリンピック、ほか

  • 支援内容別研究会

 MICE、人材育成、スタートアップ、ベンチャー投資、研究ファンド、ほか

■グローバルヘルスクラスターFacebookページ ⇒ http://on.fb.me/HJLrKh

【これまでの研究会活動】

グローバルヘルスクラスター準備委員会のプラットフォーム活動としての各研究会の過去の開催のスケジュール

2013年8月22日(木)  東京・秋葉原UDX
韓国における医療情報、電子レセプト

2013年10月28日(月)  東京・秋葉原UDX
ドイツの大学アンバサダー広報戦略から学ぶコーポレートコミュニケーション

2014年12月9日(火)  東京・秋葉原UDX
ウエアラブル(モバイル)ヘルスデバイスや介護ロボットへの超小型電池活用とグローバルマーケット展開の為の国際連携プロジェクト創出~

2015年6月16日(火)  東京・秋葉原UDX、アイルランド大使館大使公邸
アイルランド研究会「コネクテットヘルス」

2015年6月18日(木)  大阪・グランフロント大阪
アイルランド研究会「コネクテットヘルス」

2015年6月26日(金)  東京・秋葉原UDX
在日米国商工会議所(ACCJ)と欧州ビジネス協会(EBC)共同執筆「医療政策白書2015年版」解説セミナー

2015年7月15日(水)  東京・秋葉原UDX
デンマーク研究会「デンマークと実現するライフイノベーション」

2015年7月17日(水)  大阪・グランフロント大阪
デンマーク研究会「デンマークと実現するライフイノベーション」

2015年7月17日(水)  大阪・グランフロント大阪
在日米国商工会議所(ACCJ)と欧州ビジネス協会(EBC)共同執筆「医療政策白書2015年版」解説セミナー

2015年12月2日(水)  東京・秋葉原UDX
グローバルヘルスイニシャティブが推進するグローバルヘルスクラスター「デンマーク、オーデンセン市の先進的取り組みと日本との連携で実現するライフイノベーション」

デンマーク、オーデンセン市の先進的取り組みと日本との連携で実現するライフイノベーション~デンマークの革新性と日本の技術力が融合した価値創造2.0~

2016年2月8日(月) 東京・秋葉原UDX
「スマートパークス、ヘルシーパークス」~先端技術活用の次世代公園都市整備とマネジメント~
国際連携によるミラーリング・ヘルスリサーチパークの実現

2016年2月23日(火) 東京・秋葉原UDX
競技スポーツから考える生涯スポーツ -「走る」をキチンと考える-
英国、欧州、米国にみるプロフェッショナル・アスリート向けのトレーニング、リハビリテーション

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