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【エコワークショップ/次世代金融ビジネス】排出取引と排出量市場における国内取引ビジネスの課題と可能性

次世代金融ビジネス研究会 + エコワークショップ

 

開催の内容

様々な金融商品が生まれています。これまでのカテゴリーでは分類不能な金融商品も生まれてきました。その一つにカーボンオフセットなどに活用される「排出取引」「排出量取引」「排出権取引」と呼ばれるものが挙げられる。ここには各国の国際的な思惑、戦略が交差しており、可能性と同時に多くの課題も存在しています。
2008年、世界の排出量取引市場の取引高は1,263億米ドルに上り、2007年から倍増しました。取引高の73%が欧州排出量取引制度(EUETS)に代表されるキャップ・アンド・トレード型排出量取引制度のもとでの取引によるものです。

国内でも証券取引所や商品取引所など、主務官庁の別を超えて参加準備が進んでいます。東京証券取引所グループと東京工業品取引所も、共同で温室効果ガスの排出量取引市場の創設の検討に入りました。
取引対象は、国が企業に割り当てる二酸化炭素(CO2)の排出枠などが想定されており、企業や団体のほか、仲介業者、投資家などによる取引への参加が検討されています。こうした取り組みの可能性などに関しての議論をいたします。

ゲスト : 中部大阪商品取引所 常務理事  小畑 勝裕 氏
      中部大阪商品取引所 企画部長  安藤 和弘 氏

話し手 : 新産業文化創出研究所 所長  廣常 啓一

排出取引(はいしゅつとりひき、英語:Emissions Trading, 略称:ET)とは、各国家や各企業ごとに温室効果ガスの排出枠(キャップ)を定め、排出枠が余った国や企業と、排出枠を超えて排出してしまった国や企業との間で取引(トレード)する制度である。「排出量取引」、「排出権取引」、「排出枠取引」、「排出許可証取引」、「排出証取引」ともいう。京都議定書の第17条に規定されており、温室効果ガスの削減を補完する京都メカニズム(柔軟性措置)の1つ。
排出取引の方式は主に2種類ある。キャップアンドトレード(Cap & Trade)と、ベースラインアンドクレジット(Baseline & Credit)であるが、多くの排出取引で前者が用いられている。そのため、「キャップアンドトレード」というように方式の名前で呼ぶことも多い。

排出量市場 価格と市場規模
排出量の売買に際しては、その価格が取引量を左右し、温室効果ガスの削減量を左右することになる。
排出量(炭素クレジット)の価格は、シカゴ気候取引所(Chicago Climate Exchange, CCX)、欧州気候取引所(European Climate Exchange, ECX)のほか、Nord PoolやPowernextなどの市場価格に左右される。
世界全体での排出取引の市場規模は、2007年時点で約400億ユーロ(約6兆円)前後であるが、急激な拡大を見せており、今後も拡大は続くと予想されている。取引総量は2007年時点で27億トンで、これも急激に増加している。

商品化
国内排出取引や域内排出取引において、企業や団体などが保有する排出量をさまざまな形で取引しようという動きがある。
大量の認証排出削減量を持つ企業が認証排出削減量を信託銀行に信託することや、認証排出削減量の購入を希望する企業が信託銀行に金銭を信託(特定金銭信託)することで、小口の取引を活発化させようとするものがある。
(例)りそな銀行では、信託の機能を活用することで、中堅・中小企業の排出権の小口購入を可能とし、代理で排出権の取得・管理事務を行います。
銀行や証券会社が、金融商品として排出量を株式や債権と同じように取引する試みもある。また、取引によって生じた利益の一定分を環境対策に用いたり、環境保護団体に寄付したりといった、グリーン投資スキームに類似した仕組みも一部で用いられている。
取引に伴う排出量価格の上昇は、排出量売却による利益の増大を意味するため、排出削減を促進する働きがある。ただし、過度な上昇は排出削減の難しい企業にとっては負担が増えることになる。また、排出量が投資対象となることによる、さまざまな弊害も指摘されている。