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第2回コトクリエ共創フォーラム「生物多様性と生態系によるまちづくり」

奈良公園付近に生息する約1200頭の野生の鹿が芝を食べるので、奈良公園では芝刈りを行う必要がありません。一説には、約79haに及ぶ園内の芝刈りを業者に委託すると、年間100億円もの費用が必要と言われています。また、鹿は毎日合計1トンの糞をしますが、糞を食べるコガネムシの仲間である糞虫(ふんちゅう)が生息し、その掃除をしています。糞虫が食べた残りは更に別の生物やバクテリアにより分解され、肥料となり、奈良公園の芝を育てます。土の中では、土壌を豊かにして治水効果や公衆衛生にも寄与することになります。このように、奈良公園の鹿・糞虫・芝・土・微生物などの生態系メカニズムにまちづくりの様々なヒントが隠されているのではないでしょうか。

 

【プログラム】

1.「コトクリエ」共育・共創活動と「生物多様性と生態系によるまちづくり研究会」の概要説明
 株式会社新産業文化創出研究所 所長 廣常啓一

2.パネラー発表
・ファシリテータ 株式会社新産業文化創出研究所 所長 廣常啓一

<パネラー発表>
■「奈良公園の鹿について」
 一般財団法人奈良の鹿愛護会 事務局長 蘆村 好高 氏
<概要>
奈良公園のシカは古来より神鹿として愛護されてきました。また、1957年に国の天然記念物に指定され、都市の近くで生態を観察できる野生動物の群落として類の少ないものです。保護の始まりを歴史的にふまえてご説明し、奈良公園のシカの生息数の経緯、食性などの生態と鹿・昆虫・微生物たちによって美しい自然が生まれる仕組みをご紹介します。

■「奈良公園の糞虫について」
 ならまち糞虫館 館長 中村圭一 氏
<概要>
奈良公園は日本一の糞虫(糞を食べるコガネムシの仲間)の生息地と言われており、本州で見られる約100種の糞虫のうち約40種類を見ることができます。なぜ奈良公園には多くの種類の糞虫が生息しているのか?餌となるシカ糞と住みかとなる環境の両面からその理由について考えます。実は意外に糞虫は身近な生き物で、いつの時代も人々の暮らしの変化が糞虫の盛衰に重要な影響を与えていることに注目したいと思います。さらに世界の糞虫に目を向けるとその種類は数千種類に及び、色も形も習性も様々。奈良公園の糞虫と比較しながら、世界で多様な進化を遂げた数多くの糞虫との違いについて考えます。

■「芝の多様性について ~奈良公園や東北の野芝を事例として~」 
 京都府立桂高校 農業科 教諭 片山一平 氏
<概要>
奈良公園にある若草山の芝は独自の特徴を持つ芝であることをご存じでしょうか?
これは鹿との共生によるものです。そして、さらに、若草山の芝が多様性の性質を持つ希少な天然芝地であることはほとんど知られていません。この発表では若草山の芝の多様性をご説明いたします。加えて、天然の芝地を保有する宮城県牡鹿半島の霊島金華山における芝の研究と実証実験から、多様性のある芝地がどのように誕生したのか、多様性のある天然芝を新たな緑化素材とするビジネスの可能性についてもご紹介いたします。

■「世界に誇る奈良公園を目指して」
  奈良県地域デザイン推進局 奈良公園室長 竹田博康 氏
<概要>
奈良公園の価値は、自然資源、歴史・文化資源、公園資源及びこれらが融合した独特の景観です。このため、奈良公園では、平成24年2月に「奈良公園基本戦略」を策定し、現在、これらの価値を守り、さらに魅力を活かす取組を進めています。
このうち、価値を守る取組としては、天然記念物「奈良のシカ」の保護育成、特別天然記念物「春日山原始林」の保全再生、名勝「奈良公園」のあるべき植栽のあり方が中心となるが、それぞれ有識者で構成する委員会において議論して方針を定めたうえで、それぞれ各種団体と一緒になり、持続可能な取組を進めており、その内容の一端をご紹介します。

■「みらい価値共創センターにおける生物多様性への取組み」
 大和ハウス工業株式会社 環境部 環境マネジメントグループ 主任 西部洋晴 氏
<概要>
大和ハウスグループの環境長期ビジョンやこれまで当社が取り組んできた工場等における地域の方のとの生物多様性に関する活動をご説明します。コトクリエでは、雨水の貯留と有効活用や地面に浸透させる技術、地域の在来種や万葉集に謳われている植物などの自然環境に配慮した取り組みについてご紹介いたします。

発表者プロフィール
・一般財団法人奈良の鹿愛護会 事務局長 蘆村 好高 氏
奈良県職員として長年、建設課などで土木や住宅の行政に携わる。2018年4月に奈良の鹿愛護会の事務局長に着任し、事務局業務全般のマネジメントを担当する。

・ならまち糞虫館 館長 中村圭一 氏
1964年大阪府生まれ奈良県育ち。NPO法人自然体験活動推進協議会自然体験活動指導者(NEAL)資格保有。NPO法人シニア自然大学校認定自然観察アドバイザー。中小企業診断士。小さい頃から生き物好きで、中学時代に昆虫同好会を立ち上げる。その時の研究が日本学生科学賞(主催:読売新聞社)の奈良県知事賞を受賞。大学卒業後は金融機関に勤務し、事業再生や震災復興に関わる。この時期に世界の糞虫と出会い、その華やかでカッコイイ糞虫ワールドに魅せられる。2016年6月に早期退職し実家のある奈良にUターン。経営コンサルタントとして中小企業の経営支援活動を始める一方、奈良市役所にて「奈良の糞虫・世界の糞虫」展を開催。2018年7月、今も古い町並みの残る奈良町に長年の夢である「ならまち糞虫館」をオープンさせた。

・京都府立桂高校 農業科 教諭 片山一平 氏
1957年京都府生まれ。大学卒業後、講師を経て母校の桂高校に赴任。以来40年間園芸を教える。高校では珍しいゼミ形式の学習プログラム「TAFS」(Training in Agriculture for Future Science)の担当教員として「地球を守る新技術の開発」研究班を指導。野芝の保護・活用の研究に取り組み、東北や京都の在来種の芝を用いたビジネスの実証実験も行っている。 

・奈良県地域デザイン推進局 奈良公園室長 竹田博康 氏
昭和63年4月奈良県庁入庁。現在、奈良県地域デザイン推進局奈良公園室長 
奈良公園のハード&ソフト施策のプロジェクトを牽引し、奈良公園周辺でのまちづくり、誘客促進、整備・管理など奈良公園の価値の維持向上に携わっている。一方で、「なら・まちづくりコンシェルジュ」として活動し、まちが活気づくきっかけとなればという思いで県内に出没中。

・大和ハウス工業株式会社 環境部 環境マネジメントグループ 主任 西部洋晴 氏
自然科学研究科環境計画学専攻修了、2002年大和ハウス工業入社。事業所で住宅の外構造園設計を経験した後、総合技術研究所にて屋上緑化や壁面緑化などの都市緑化技術の研究開発に携わる。現在は環境部で生物多様性全般の取り組み推進を行なっている。

問い合わせ先
〒630-8453 奈良市西九条町4丁目1-1 みらい価値共創センター内
(株)新産業文化創出研究所(本フォーラム業務委託先) 担当:青山、奥田
 Email:kotokurie_forum@daiwahouse.jp

 

「生物多様性と生態系によるまちづくり研究会」について

持続的な生活やまちづくり、またSDGsやESGを考えるうえで、「生物多様性」や「生態系」は重要なキーワードです。国際的な生物多様性条約の締結に伴い、国内でも2008年に生物多様性基本法が制定され、2009年には経団連も「日本経団連生物多様性宣言」を発表しました。企業が生物多様性に取り組む理由としてのリスクやチャンスも少しずつ見えてきました。また、生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)の第一部が、2021年10月に開催され、今後の国際的な動向も明確になりました。しかし、本テーマにおいて、持続的な社会と持続的な経営の両立を実現するためには1社や1業種では困難です。そこでコトクリエ共創研究会として「生物多様性と生態系によるまちづくり研究会」を2022年1月以降にたちあげ、持続可能な社会と地域を発展させるため、そして事業化に向け、様々な研究者や市民、行政、企業の皆様と学び、活動いたします。

企業の皆様においては、本研究会を通じて、生物多様性に関する取組みが社会貢献・CSRとしてのみならず、本業の中でCSVとして取り組めるようになり、またESG投資などにより資金調達ができる一助となることを目指します。

勉強会、セミナー
生物多様性と生態系のまちづくりを取り巻く様々な課題や可能性、課題解決や事業化のための技術や国内外事例などを知る機会として勉強会やセミナーをシリーズで行って参ります。今後、参加メンバー、また支援いただくサポーターも募集いたします。参加は無料です。

共創推進活動
勉強会、セミナーなどで取り上げた多様なテーマから参加者の関心の高いテーマやプロジェクトを選び、その実現のための調査研究、共創のための参加各社の持つ技術や事業、取り組みなどの発表や試行的取り組み、マッチングなどを行います。取り組むテーマや事業などの詳細は後日発表いたします。参加は無料です。

<テーマ案>
・生物多様性に係る企業活動の国際動向と生物多様性のアニュアルレポートの書き方の検討
・生物多様性の経済学:ダスグプタレビューとESG投資の社会価値を金額換算したインパクト評価について
・森の動物・昆虫・植物の会 - 生物多様性調査のセンシング機能活用によるまちづくりIoT –
・生物多様性をブランド化した地域振興、産業振興
・グリーンインフラとレジリエンス
・公開空地などの㎡から㎥のレジリエンス機能による容積率の緩和を目指して
・衛星からのリモートセンシングによる生物多様性問題解決  - 違法伐採を監視するJICAの衛星システム –
・グリーンボンド、エコロジカルフットプリント、ESG投資などの金融システム
・生物多様性を保全するツーリズムとは
・海の生態系再生と廃ガラスのリサイクル活用
・道路および鉄道における動物との共存 - 動物と共存できるインフラとは? –
・貝による水質浄化とまちづくり
・害獣、害虫、植物害の問題などの解決や共生
・住宅における生物多様性
・動物活用のファシリティマネジメント
・自然を活用した健康・治療  など

<キーワード>
「生物多様性」「生態系」「固有種・自生種・在来種・外来種」「雑草活用」「ビオトープの次に」「害虫・害獣対策」「有用生物・有用植物」「未知の有用生物」「クモは家の守り神」「ヤモリは家守」「バイオテクノロジー」「微生物」「土壌改良」「水質浄化」「ごみ処理」「環境負荷」「炭素固定」「環境アセスメント」「緑のネットワーク」「グリーンインフラ」「グリーンレジリエンス」「ランドスケープとマネジメント」「パークマネジメント」「公開空地」「㎡から㎥のグリーンレジリエンス」「屋上緑化・壁面緑化」「企業緑地」「里山再生」「ボタニカルライフ」「コミュニティ醸成」「防災」「ふれあいと健康」「学習」「観光」「高付加価値化農業」「鹿と糞虫」「ヤギ・ヒツジのエコ除草」「コウノトリのお米」「ハチの受粉」「けものみち」

 

みらい価値共創センターについて

2021年10月、奈良市西九条町に新しくオープンした「大和ハウスグループ みらい価値共創センター」では、社会に求められる新たな価値を創出するため、多くの方々に喜んでいただける事業価値を創出するための社員教育をはじめ、異業種企業や研究機関との研究会による社会課題解決への取り組み、地域の子どもたちを中心とした未来を創る学習プログラムなどの探究学習を展開します。

みらい価値共創センター「コトクリエ」の「共育活動」「共創活動」
みらい価値共創センターは、暮らしや地域、社会や地球に良い影響を与え、現状課題や将来起こりうる課題を解決することができる人財や技術・製品、事業や活動主体、またライフスタイルを形成するための活動拠点(プラットフォーム)です。ここでは、産官学民など異分野の多様な主体やセクターがソーシャルグッド(Social Good)の実現を目指し、共に学ぶ「共育活動」、共に創る「共創活動」の様々なテーマの研究会やカリキュラム、支援策が繰り広げられる予定です。

コトクリエ共創フォーラムとは
・コトクリエの取り組むコンセプトテーマの提言、話題提供、情報発信、成果発表的なイベントで月1回程度開催するブランディング企画
・コトクリエのみらい価値共創の目的である「人の価値」「経済社会的価値」「地球環境価値」の観点で各回テーマを決めるものや多様な業種や主体、セクター、異分野テーマの組合せなど幅広い構成による内容で開催
・コトクリエの様々な取り組みとして「共育活動」や「共創活動」に結び付く提案型や参加者のニーズの確認(アンケート等)により、共育や共創(研究会)のテーマを産み出す基本的なフォーラム。コンセプトを共有するコトクリエ以外の団体などの共催も含む。
・各研究会などの広報活動(参加案内)や研究会活動の成果報告のためにも開催

みらい価値共創センターWEBサイト:https://www.daiwahouse.co.jp/kotokurie/

 

本フォーラムへの申し込みにあたりお預かりした個人情報につきましては、今後、新産業文化創出研究所と大和ハウス工業株式会社にて適正に管理し、今後大和ハウスグループみらい価値センターが主催するフォーラム、プログラム、研究会等のご案内で使用させていただきます。