◆概要
災害などによる地域全体の大規模解体や災害ごみの課題
災害や再開発などによって地域にある多くの建物(住宅や店舗、工場や事務所、学校や公園などの公共施設)が一斉に解体しなくてはならない状況があります。また、他の災害ごみと一緒に一時保管し、安全や衛星のためにも素早く大量処分しなくてはならないことも大きな課題となっています。早急な復旧のためには、思い出に浸る間もなく、解体や処分を急ぎ、新たな生活再建に備えなくてはなりません。
ごみではなく、思い出のツール
解体やゴミとなる建物の窓や扉、壁タイルや瓦、柱や庭木、学校の黒板や運動用具、公園の遊具やベンチ、お社やパブリックアート、工場や商店にも道具や機械、看板、家の中にも机や椅子などの家具や食器、衣類など「形あるもの」も大量に廃棄物に回されてしまいます。
こうした「形あるもの」や「風景」には、色や形、音や香り、味や感触、楽しみや苦労などが思い出されることでしょう。思い出を地域で継承するための活動も重要であり、再建するまちの新たな建物の内外装に技術的、デザイン的に効果的な活用をするとことで、地域の特徴ある景観を形成することができるだろうと考ます。
リユース、リサイクルなど活用のための仕組みづくり
こうした建材や製品を必要な方にリユース、リサイクルする仕組みづくりのためには、再資源化や再生利用など次に使うことを考えた解体、分別、集荷、洗浄、安全性確保、保管、加工や修理、再利用製品への転換、流通、マネタイズなどの技術開発や事業モデル化しなくてはなりません。災害による解体の仕組みに日常の解体や廃棄で出る「もの」の組合せによる仕入れ販売などの継続性も組み合わせる必要があります。
地域の再開発の材料、デザイン、機能、事業化施設等への活用
用途の一つとなるまちづくりへの活用には、新たに再建、再開発する地域や建物の建材やデザインの一部として再利用することで、思い出の詰まった景観を再現すことができると考えます。多くの災害地域では、早期の解体と新建築が急がれ、全く新しい建築物や風景となることがあります。一般的な木造密集地域で賑わう小さな店舗が並ぶ再開発でも、ピカピカの店舗になることで、その風情やコミュニティを楽しんできたお客様が離れてしまう事例も多々あります。
映画のセットなどでは、こうした古い材料と新たな材料を効果的に組合せたエイジング技術が使われます。古民家を活用した味のある店舗、今では生産できない現在をはめ込んだビルなども造ることができるでしょう。
また、リユースやリサイクル、材料や商品などの研究や教育研修、流通などの拠点施設、店舗などの事業や地域への配置、建物運営やテナント活動などの計画を検討します。
2Rから3R+α、サーキュラーエコノミーのまちづくり展開と事業化
2RとしてのReuse、Recycleに、Reduceを加えた3R、+αのRenewable、Refurbish、Re-commerceに、建築やまちづくりのサーキュラーエコノミーやサーキュラーデザインの考え方と併せことで、鉄骨やコンクリートなどの新たな建材を使った新築建物であっても、そのパーツが何十年後かにはレゴブロックを解体するように別の場所の材料として使われたり、そのまま移築するような技術も確立しだしています。アムステルダムでは、こうしたサーキュラーエコノミーの都市政策が既に進んでいます。
社会課題解決と新たな事業の創出のための共創活動 (オープンイノベーションとリビングラボ)
「解体や災害ごみの活用」、「リユース、リサイクルリユース」、「まちづくりへの活用」、「サーキュラーエコノミーのまちづくり」などの仕組みづくりと事業化、また、地域での実証や実装を実現するするために、地域で活動する団体や事業者、研究や技術に関わる方、産業化を目指す企業やスタートアップ、地域での展開や支援を行う主体や自治体など異分野の多様な主体による共創(オープンイノベーション)と課題や資源を持つ地域共創(リビングラボ※)を組み合わせて社会実装を目指すことが重要となります。
福島県浪江町での共創とJR浪江駅西側まちづくりでの地域実装
東日本大震災の原子力発電所の事故で全住民の避難が余儀なくされていた福島県浪江町(なみえまち)では、令和5年度に一部、避難指示を解除されることとなり、住民の帰還・居住を可能とする「特定帰還居住区域」の設定制度創設と「特定帰還居住区域復興再生計画」の認定を受けました。
本計画に基づき、令和6年度より除染とインフラ整備を進め、早期避難指示解除を目指しています。JRの浪江駅西側地区でも整備計画が始まり、地域資源を活用し、地域内外の共創による産業創出やまちづくりを行う「浪江駅西側地区共創会議」とその部会である「コミュニティ部会」と「基盤整備部会」が立ち上がりました。
第1回コミュニティ部会(7月17日開催)では、地域の皆様から計画地域での実装に結び付く様々な地域課題やアイデアなどの提案が発表されました。
その発表の一つが「リユース、リサイクルによる思い出継承のまちづくり(仮称)」です。第2回コミュニティ部会(11月5日開催)では、このテーマを事業シナリオ化し、共創するために異分野の皆さんとの共創ワーキンググループの立ち上げをスタートします。10月21日には、このプロジェクトのオンラインによる説明会を行います。
共創ワーキングの進め方
共創ワーキングでは、課題提供や地域資源提供、事業アイデア提供や技術提供、プロジェクト支援、実施主体や経営などの参加する立場(ポジション)の明確化、ワーキンググループ(WG)に於いて貢献できるアイデアや技術、役務や熱意などのリソースなど情報交換を行います。
WGでは専門分野やプロジェクトの違いに応じた複数のチームを構成し、チームビルディング、不足リソースとのマッチング、プロジェクト組成、実証事業、事業化、社会実装、他(多)地域展開、事業拡充へと進めていくことも予定しています。
共創ワーキングで生まれる成果
共創WGでは、当初は、闊達な意見交換や交流から紳士的にスタートしますが、技術やアイデア、事業モデルなどの知財の取り扱いや成果に関しての活用方法や活用主体、NDAなどの手続きなどは進展していく段階でチームやプロジェクトごとにルールを決めていきます。
リビングラボとしての実証地域、実装地域は、先ずは、浪江町と浪江駅西側のまちづくりや拠点づくりに反映させますが、他地域での検討や他地域への拡大展開などを排除するものではありません。
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◆10/21日の説明会プログラム
●事業説明
・解体建物の建材や家具、食器、衣類などのリサイクル活用事業について
・リサイクル品による思い出品の地域景観形成とまちづくりの地域実装について
※サーキュラーエコノミーのまちづくり
・事業化と地域実装の共創活動とは
・思い出継承まちづくり(サーキュラーエコノミーのまちづくり)WG(仮)とは
事業説明者 : 新産業文化創出研究所 所長 廣常啓一
●地域での事業者からのコメント
調整中
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◆10/21日の説明会当日の全プログラム
1.地域の埋もれた経営資源を活用した事業創出とまちづくりの共創活動説明会【10/21】
地域の埋もれた経営資源を活用した事業創出とまちづくりの共創活動として、「未利用木材活用の燻製技術による6次産業化(燻製ラボ)」と「解体建物のリサイクル事業と思い出の景観形成」の共創ワーキングについての説明と、技術や事業の地域実装候補としての、福島県浪江町で行われる「浪江駅西側地区まちづくり共創会議コミュニティ部会、共創ワーキング説明会」の説明会の3部制となります。https://icic.jp/seminar/event15724/
第1部から第3部まで、同じ、オンラインのアドレスで続けて行いますので、どの部を申し込まれても全て参加することも可能です。
◆オンラインZOOMミーティング利用
下記の第1部から第3部の申し込みフォームに記載いただき申込み頂いた方に、事務局よりZOOMミーティングのURLを送付させていただきます。希望の説明会のお時間になりましたらお入りください。第1部から第3部の各回ごとに質疑の時間も設けています。
■第1部 16:00~16:30「多様な未利用木材活用の燻製技術による6次産業化事業(燻製ラボ)と地域実装」について
◆第1部の詳細・申込は
https://icic.jp/seminar/event15724/
■第2部 16:30~17:00「解体建物の建材や家具、食器、衣類などのリサイクル事業と思い出の地域景観形成の共創活動」について
◆第2部の詳細・申込は
https://icic.jp/seminar/event15728/
■第3部 17:00~17:30「浪江駅西側地区共創会議」について
◆第3部の詳細・申込は
https://icic.jp/seminar/event15740/