病院診療所イノベーション研究会
開催の内容
病院、診療所など経営戦略の重要性が叫ばれる中、病院の経費節減から収益向上、業務アウトソーシングや資産のオフバランス化、また、新規事業から業務連携、異業種連携に関しての提言と関連のワークショップ、セミナー、研究会として開催。
この回は、「業務アウトソーシングや資産のオフバランス化」により、これまで病院などの医療業界とは縁遠かった業種やその技術、サービスによる病院との連携業務、病院の業務受託、新ビジネスの創造につながる事を議論しました。
【テーマ】 病院資産のオフバランス化と業務アウトソーシング
【講 師】 新産業文化創出研究所 所長 廣常 啓一
【概要】
●公立、私立を問わず病院経営に対する新たな戦略が重要となっている。その経営戦略の一つとして、不動産や各種設備、医療機器、関連備品などの資産のオフバランス化とノンコア業務のアウトソーシング、またコア部分の一部アウトソーシングなどによる経営資源の集中と外部ネットワークによる経営効率の向上を考える。
●また、病院の情報化、高度技術や機器の導入などの技術開発や事業多角化などによるコラボレーションの検討。
●医療サービスから健康サービス業務の拡大と関連施設、関連設備、機器、人材の外部化とシナジー効果。
●食との関係で言えば病院給食やNST、食事指導とドクターズキッチンプロジェクトへの参画などとオフバランス化。
●病院経営支援事業向けの業務とファンド組成。
●病院経営のPPP、PFI、指定管理者、アウトソーシング受託。特に公立病院改革プラン( 08年度スタート)などによる自治体病院の経営指導と業務受託などとの連動。
●医療機関の資産や業務の引き受け領域の拡大に伴う、異業種の参画の可能性。粒子腺治療やPET、MRI、手術ロボットなどからホテル客室などによる病室管理、外食産業などの入居による給食設備の外部化とドクターズレストラン、リハビリ施設としてのフィットネスクラブ、入院患者向けアメニティの地域サービス、各種物流システムの確立による関連機能の外部化と主要スペース化など多岐にわたります。
●病院資産の流動化と利用者によるファンド参画、コミュニティボンドのあり方、寄付の活用など。
◎病院経営ソリューション研究会の考え方
地域の市民サービス機能としての「病院」。この病院を取り巻く環境は医療行政の方針や患者のニーズなどにより大きく変化してきました。
医師不足、診療報酬制度の改定、病院の近代化、情報化、サービス産業としての顧客満足度の追求、公立病院経営などの危機、病院の統廃合などが叫ばれる中、新たな病院経営のあり方とそのための考え方、技術や商品、コラボレーション方法と業界などの課題解決策と新事業開発に関してのセミナーとワークショップ、研究会となります。
病院関係者だけでなく、医療関連産業、健康関連産業、病院との新たなコラボレーション業界となる異業種の方々とで構成していきます。
新たな病院のあり方としては経営改善策としての効率的経営と財務計画。オフバランス経営などの財務戦略や資金調達手法。
また収益拡大策としてマーケティング理論の活用としての新サービスの拡大やブランディング戦略などのビジネスモデルも考えていきます。
前者は電子カルテや健康診断、食事や運動履歴など個人の健康に関する記録(PHR)を活用した新たな健康サービスの提供と医療機関を中心としたコンプレックス施設。総合的な健康サービス集積拠点として住民の医療健康を考える施設のあり方やビジネスモデル、提携先、知的財産戦略などを考えます。特に診療報酬制度内の行為としての医療から広く、健康維持・改善、保険、介護まで幅広い生活者ニーズに対応するビジネスモデルを検討します。
後者はIT化や合理化策の他、病院業務のコア業務・ノンコア業務の分類とアウトソーシング。オフバランス経営として事業や施設に対する証券化と寄付債券、優待投資のためのコミュニティボンドや信託などの仕組みとなります。
特に経営悪化の公立病院などは市民病院を名乗るのですから市民出資や信託財産活用の病院であるほうが、コミュニティ病院としてステイクスホルダーの協業意識やモチベーション向上、介護やFP、PBなどへの拡大など利用者ニーズへの対応が効率よく実施されます。このように公的サービスを利用する人が参加する金融システムと商品やサービス、出資者への優遇策と法制度の整備などを研究していきます。
内需拡大が叫ばれる中、湧き出る国内課題を解決することも新市場創出の機会となります。
◎研究会活動としての産官学医連携、異業種連携、その他ビジネスマッチング
本企画を通じて産官学医連携、異業種連携、その他ビジネスマッチングを促進してまいります。
下記のテーマなどによりセミナー、ワークショップ、研究会の開催を予定。各方面の先端的取組や実績のある講師・スピーカーをお招きして参加者同士の議論も交えてプログラムを進めてまいります。
(プログラム例)
■市民による市民のための地域病院のあり方、予防健康医療と病院財務
■電子カルテや病院IT化戦略
■病院のコア業務、ノンコア業務分類とアウトソーシング
■病院サポート業界のコラボレーション、連携のあり方
■病院のオフバランス経営(不動産、医療機器、エネルギー設備、その他設備、人材)
■人材確保のための労務戦略
■病院の新たなビジネスと関連産業
■健康予防医学と病院サービス
■医療健康施設コンプレックス
■寄付やパブリックエクイティと病院の資金調達
■医療技術以外による医療・病院へのアプローチ
■マーケティング・ブランディング戦略と顧客サービス
■病院での娯楽・エンタテイメントとその効果
■選択食時代の食事サービス
■地域産業から国際産業としての医療システムとナレッジ
■外国人顧客の獲得と国際展開
■治験業務と商品開発
■その他
◎これまで実施したセミナー、ワークショップ
平成20年7月28日 公立病院改革と市民病院の本来あり方
平成22年3月19日 健康サービス集積のコミュニティ病院の可能性